セント・マーチン島(Saint Martin)は、カリブ海に位置する小さな島ですが、世界的にも珍しい「二重統治」の島です。北側はフランス国海外準県サン・マルタン(Saint-Martin)、南側がオランダ国の自治体シント・マールテン(Sint Maarten)。島が二つの国の自治体によって分割されています。
つまりフランスとオランダ、両国の特別自治体が合わさった特殊な島であり、セント・マーチン島自体は国ではありません

セント・マーチン島一番の観光名所、マホビーチ

歴史的背景

元々はスペインが支配していたそうですが17世紀になるとスペインの力がゆるみ、代わりにフランスとオランダが入ってきたとの事。1648年に「コンコルディア条約(Treaty of Concordia)」が結ばれ島がフランスとオランダによって分割されることになりました。以来、この分割は現在まで続いています。

 

フランス海外準県、サン・マルタン

サン・マルタンは、フランス本国の海外準県として存在しており、EUの一部でもあります。そのため、フランス語が公用語であり、通貨はユーロ(EUR)が使用されています。行政的には近隣のフランス海外県グアドループから分離し、2007年に単独の海外準県となりました。

 

オランダ王国の一部、シント・マールテン

一方のオランダ国シント・マールテンは、かつてオランダ領アンティルの一部でしたが、2010年にオランダ本国からの自治権を獲得し、現在はオランダ王国を構成する独立した自治体となっています。公用語はオランダ語と英語で、通貨はオランダ領アンティル・ギルダー(※2025年カリビアン・ギルダーに切り替え予定)ですが、米ドルも広く使われています。
フランス側とは違いEUには属していません。

 

国境と行き来の自由

この島のもう一つの特徴は、国境が非常に緩やかで、自由に行き来できる点です。フランス領とオランダ領の間には物理的な検問所はなく、車や徒歩で簡単に国境を越えることができます。このユニークなシステムにより、二つの異なる文化を手軽に体験することができます。

 

両サイドの特徴

セントマーチン島の経済は観光業が中心で、特にカリブ海クルーズの寄港地としても人気があります。フランス側はヨーロッパ的な雰囲気が強く、高級リゾートや洗練されたレストランが多いのに対し、オランダ領はカジノやナイトライフが充実しており、アメリカ的な雰囲気が特徴です。

 

まとめ

セントマーチン島は、フランスとオランダによって分割統治されている珍しい島でありながら、国境を意識することなく自由に移動できる場所です。それぞれのエリアが独自の文化や魅力を持っており、ヨーロッパとカリブ諸島の融合を楽しめる旅行先として多くの観光客を魅了し続けています。

 

最終更新日:2025年2月17日