ハリケーンや暴風雨がやって来るのは雨季(6月~11月前後)です。特に大型ハリケーン発生の可能性が高いのは、8月下旬〜9月中旬あたり。
乾季(11月~5月前後)には来ません。
ハリケーンとは時速約115km以上のものを指し、それ以下はトロピカルストームや単に暴風雨などと言います。
ハリケーンの最新情報は以下のサイトを参照ください。
NATIONAL HURRICANE CENTER
SXM CYCLONE
(警戒レベルの色と意味は以下の通り)
緑:ハリケーン・暴風雨の心配なし。
黄:48〜72時間で到達の可能性有り。この段階では特に何もしなくて良い。
オレンジ:24〜36時間で到達の可能性有り。水のストックや非常食などの準備をする。
赤:6〜8時間で到達の可能性有り、屋外のすべての行動を止め滞在先に戻る。
紫:完全に直撃中。絶対に外出しない。
灰:ハリケーン等は過ぎ去ったが、まだ天気は不安定な状態。
2017年ハリケーンイルマ (IRMA) 被害からの教訓
以下は実際に超大型ハリケーンで被災し九死に一生を得た私の経験からの教訓です。
ハリケーン前に晴れていても油断してはいけない
イルマ直撃の半日ほど前まで空は青く晴れていた。とてもこれから強烈なハリケーンが来るようには思えなかった。
しかし、晴れてはいたが波打ち際がいつもより島側へ押し出され、カニや鳥が陸へ逃げ始めている様子だった。自然をよく見ると危険の前兆を察知できる。ハリケーンが到達してからできる事はほとんどない。その前に備えなければならない。
また、規模の小さいハリケーンであったとしても甘く考えてはいけない。わずか数時間で急激に発達する事もある。今回のイルマや、2014年のゴンザロ(GONZALO)がまさにそのパターンで、短期間で勢力を増し島を直撃した。不意打ちを受ける形となる分ダメージも増す。
1階と最上階は危険
1階は水没の可能性、最上階は屋根が飛ぶ危険がある。天井がコンクリートで覆われている建物であれば屋根が飛んでもとりあえずは大丈夫だが、最大レベルのハリケーンの場合はそのコンクリートの崩壊にも注意しなければならない。
1階と最上階に挟まれた間の階が一番安全性は高い。
浅瀬の海岸近くには大波が押し寄せる
浅瀬の海岸は一見危険度は低そうだが実は非常に危ない場所である。普段波がほとんどなく穏やかなだけに油断しがちだ。まさに私の自宅一帯がそうだった。
もし海底から陸にかけて角度がついていれば(海が深ければ)それが抵抗となり、ある程度波が抑えられる。しかし浅瀬がずっと広がっているようなエリアでは、海側から大きな波が押し寄せて来た際に波を抑える力が働かない。その結果どんどん海水の勢いが増して陸を襲う。
見晴らしが良い場所は危ない
海沿いや丘の上などにある素晴らしい眺望の立地は危ない。
海沿いは海水と暴風雨、丘の上などは暴風雨をダイレクトに受けるリスクがある。
そして大抵これらの景観の良い場所にホテルや貸別荘などが建っている。
その土地が元々どんな場所だったのかを知る
被害が特にひどかった場所に私はある共通点を発見した。それはその土地の歴史に関係がある。元々海だった場所を埋め立て開発したリゾートエリア、マングローブの森だった高級住宅地、昔はゴミの埋立地だった場所など。これらの地区には大きな被害が出ている。元々海か沼のようなものだったのだから、考えてみれば当然の話だ。
当事者達ほどすぐには全容を把握しにくい
現地で被災すると電気や電波がなくなるのでテレビもインターネットも使えない。すると、セント・マーチン島以外の人たちは事の全容が把握できるのに、一番ニュースを必要としている島内の人達だけ情報が得られないと言う事が起きる。
もちろん自分の周りに起きたリアルな出来事に関しては誰よりも知っている。しかし、全容は把握できない。人伝てだけでは情報が行き届かない為に様々な部分に支障が出る。また、不正確な噂も広がりやすいので、それらに惑わされてもいけない。
ハリケーンの接近と直撃は別物
大型ハリケーンが接近する事とハリケーンが直撃する事では被害規模が全く異なる。直撃すれば家ごと吹き飛ばされる事もあるが、進路から少しでも外れるとほとんど被害がない場合もある。例えば、セント・マーチン島から僅か30~100キロメートルの距離にあるサバ島(Saba)、シント ユースタティウス島(Sint Eustatius)、セントキッツ島(Saint Kitts)、ネイビス島(Nevis)などはイルマ中心部の進路コースから少し外れていたので目立った被害はなかった。
ハリケーン情勢は小まめにチェックし、自分達で判断する
オランダ側のプリンセス・ジュリアナ空港(Princess Juliana)とフランス側のグランド・ケース(Grand Case)空港では、ハリケーン直撃開始当日の9月5日まで観光客を受け入れていた。
もちろんハリケーン警告は出ていたが、その当日の雰囲気からすると、まさかここまでの被害が出るとは思わなかっただろう。
観光客の渡航は止めるべきだったと思うが、最終的には他でもない自分達の判断が命を救う。
一番確実なのはハリケーンの影響を受けない(もしくは少ない)地域へあらかじめ移動する、またはハリケーンリスクのある渡航を中止する事。特に小さなお子さんなどがご一緒の場合。
※当時の詳しい様子は以下の電子書籍に包み隠しなく記してあります。
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Shinobu Uchino(著)
2017年のハリケーン (IRMA) 被害と復興の様子はこちら
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2014年のハリケーン (GONZALO) 被害の様子はこちら